国民病として多くの日本人を悩ませている花粉症ですが、治験で花粉症が治るといううわさを聞いたことはありませんか?花粉症でお困りであれば、真偽のほどが気になる話でしょう。
この記事では、花粉症の症状や対策について詳細に解説を行うとともに、治験で花粉症はなおせるのかといった点についても紹介しています。花粉症にお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
花粉症のメカニズム
花粉症は、体内に花粉が入ると、免疫系が過剰反応してしまうことで起こります。この過剰反応により、血管が広がったり、免疫細胞が過剰に活性化したりすることで、鼻づまりやくしゃみ、鼻水、喉のかゆみ、頭痛などの症状が現れます。
花粉症は主に春先の発症が多く、花粉が多く散布される季節になると、体内に入る花粉の量が増えるため、症状が悪化することがあります。花粉症はアレルギー疾患の一種であり、特定の季節に発症する傾向があるため、定期的な対策が必要です。
花粉症の症状と対策
花粉症の症状は、主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎があります。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状はアレルギー性鼻炎によるもので、どれかひとつだけ発生する人もいれば、すべて発生する人もいます。
目のかゆみ、充血や涙目などは、アレルギー性結膜炎によるものです。この症状以外にも、せきやのどのかゆみ、肌荒れ、頭痛などが現れる人もいます。
一番基本的な対策は花粉をあびないことですが、各症状に合わせた対策を行っていくことも大切です。
くしゃみや鼻水
くしゃみや鼻水は、花粉症の主な症状のひとつです。花粉を体内から追い出そうとするために、くしゃみや鼻水が発生します。
症状
くしゃみが止まらなくなったり、鼻の粘膜が刺激されたりすることで、鼻水が過剰に分泌されます。
対策
花粉の飛散量が多い時期や時間帯、とくに風の強い日や乾燥した日は、外出を避けることが重要です。また、外出時にはマスクの着用で、花粉の吸入を防ぐことができます。
そのほかの方法としては、鼻の中を洗浄することで、花粉や汚れを取り除けます。市販の鼻うがい用品や塩水を使用することで、鼻の中をきれいに保つことができるのでおすすめです。
また、ヒスタミンの放出を抑えるために、抗ヒスタミン成分のある飲み薬や点鼻薬の使用がよいでしょう。
花粉を室内に取り込まないように、窓を閉めて室内の空気をきれいに保つことも大切です。空気清浄機を使って、室内の空気をきれいにしましょう。
鼻づまり
花粉によって体内の細胞が刺激され、ロイコトリエンという化学物質が生成されます。このロイコトリエンが血管を刺激することによって、鼻の粘膜の血管が広がったり、粘膜が腫れたりして鼻づまりとなります。
症状
花粉症の症状で鼻の穴がふさがり、呼吸がしにくくなることがあります。また、寝るときに呼吸がしにくくなり、眠りが浅くなることや、嗅覚が低下して食欲がわかないことがあります。鼻炎の影響で副鼻腔炎になってしまうと、頭痛を併発するケースもあります。
対策
外出時にはマスクを着用して、花粉の侵入を防ぎましょう。また、部屋の換気を定期的に行って、花粉を室内に蓄積させないようにしましょう。
エアコンや空気清浄機など、アレルギー対策の家電を使用して、室内の花粉を取り除くこともおすすめです。
ほかには、症状を引き起こす原因であるロイコトリエンを抑える、抗ロイコトリエン薬の使用がよいでしょう。
目のかゆみ
花粉症の症状のなかでも、とくに目のかゆみは辛く、日常生活に支障をきたすときがあります。目のかゆみは、花粉が目の粘膜に付着して、アレルギー性結膜炎を起こすことで発生します。適切な対策を行い、症状を軽減することが大切です。
症状
目の周りがかゆくなり、目の周りが赤くなったり、目ヤニがたまったりすることがあります。また、目がはれぼったい感じがしたり、目がごろごろしたり、目がかすむなどの症状がみられます。
対策
外に出るときは、花粉症専用の眼鏡を着用するとよいでしょう。アレルギー症状を抑えるため、抗ヒスタミン成分が含まれている目薬の使用で、目のかゆみや充血を軽減できます。
また、部屋の換気を定期的に行って、花粉を室内に蓄積させないようにしましょう。エアコンや空気清浄機などのアレルギー対策の家電を使用して、室内の花粉を取り除くこともおすすめです。
せき
花粉が喉の粘膜に張り付いて、異物と判断された結果、炎症が起こります。喉の粘膜に炎症が起こると、せきが出やすくなります。
症状
花粉症によって乾いた咳が続くことがあり、せきをしても、痰が出にくい場合があります。またせきが続いて、夜間の睡眠を妨げるケースもあります。もともと喘息がある場合は、喘息が悪化するおそれがあります。
対策
花粉の飛散がピークを迎える時期には、室内で過ごすほうがよいですが、外出する場合はマスクを着用して、せきを引き起こす花粉を吸い込まないようにすることが大切です。
また、室内の換気をこまめに行い、花粉を取り除くことが重要です。室内の空気が乾燥すると、喉が乾燥してせきを引き起こすときがあります。加湿器を使用して、室内の湿度を保つようにしましょう。
夜間のせきを軽減するためには、寝室の湿度を保つ、空気清浄機を使用するなどの対策も有効です。喘息の持病がある場合は、悪化しないように喘息の治療を行いましょう。
身体の免疫力をつけると、花粉症の症状が改善しやすくなるケースもあります。ショウガやハチミツなどが、せきに効く食材とされています。
喉のかゆみ
のどの粘膜に花粉が付着し、アレルギー反応を起こして、のどがかゆくなることがあります。
症状
花粉が喉の粘膜に触れることによって、喉の奥がかゆくなります。花粉症によって鼻づまりになった結果、口呼吸をしてしまい、喉が乾燥して痛くなるケースもあります。
対策
対策としては、外出時にはマスクを着用して、花粉を吸い込まないようにしましょう。鼻の中に入った花粉が喉まで運ばれて、かゆみを引き起こすパターンもあるため、鼻までしっかり覆うことが大切です。
エアコンや空気清浄機など、アレルギー対策の家電を使用することで、室内の花粉を取り除くようにするとよいでしょう。
うがいをして、花粉を洗い流すのが大切です。また、大声を出すことや、喫煙や飲酒といった要素も、喉へ負担がかかって症状が悪化する可能性がありますので、極力控えるとよいでしょう。
肌荒れ
花粉症は、鼻や目、喉などの粘膜以外に、肌荒れの原因にもなります。具体的には、肌の表面の角質層が弱っている場合は、アレルギー反応を起こしやすくなっているため、花粉が付着すると肌が荒れ、かゆみ、赤み、熱っぽさが現れる場合があります。
さらに、間違った洗顔やクレンジングを行うと角質にダメージが加わり、角質層が弱る一因となることがあります。
症状
花粉症の症状によって、鼻水や涙がたくさん出ることにより、肌が乾燥しやすくなります。とくに、鼻の周りや目の下などの肌に気をつけましょう。また症状が強いと、かゆみや赤みが発生することがあります。
対策
正しいスキンケアを行い、こまめな保湿が大切です。保湿剤やクリームを使用して、肌を潤してください。
症状が重度の場合は、医師に相談して適切な治療を受けることが大切です。皮膚科にかかり、専用の薬やクリームを処方してもらいましょう。また、顔や首の肌に花粉が付着しないように、マスクや眼鏡、首を隠す服などの着用もおすすめです。
頭痛
花粉症によって鼻がつまり副鼻腔炎になり、その結果、頭痛が発生することがあります。
症状
副鼻腔炎は、鼻汁や鼻づまり、頭痛などの症状を引き起こします。頭痛は、眉間や目の奥などの部位に生じ、重たいような感覚をともないます。副鼻腔が炎症を起こして、目や頬のあたりが痛むこともあります。
対策
花粉症が原因の頭痛かもしれないと思った場合は、病院を受診し、専門の医師に相談しましょう。副鼻腔炎にならないことが大切であるため、マスクをして鼻に花粉が入らないようにしましょう。
花粉症の軽減・治療方法
花粉症の治療方法にはいくつかの方法がありますが、いずれの方法も花粉症の症状に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。専門医の指導のもとで治療を行い、副作用やリスクを十分に理解したうえで、治療方針を決めましょう。
花粉症の方を対象にした治験への参加
花粉症をはじめとするアレルギーは、身体に蓄積された抗体が個人の許容量を超えると、ある日突然発症します。すでに花粉症を発症して苦しんでいる方や、初めて花粉症を発症してしまったという方もいるでしょう。
花粉症でお悩みの場合は、治験(臨床試験)やモニター試験で、より新しく、よりよい効果を上げる治療薬や治療方法、予防薬、そして機能性表示食品やサプリメントの開発を支援する治験ボランティアへの参加も考えてみましょう。
医薬品や食品の臨床試験には、モニターが不可欠です。これらの治験に参加すると協力金(負担軽減費)を得られるうえ、自分自身の症状の改善につながる可能性があります。治験で花粉症が治るといううわさがあるのは、こういった花粉症の新薬をいち早く試せるためでしょう。
また、治験に参加すると、より新しい治療薬や予防薬の開発を後押しができます。治験にはたくさんの案件があり、今後の医療の発展に貢献できます。
花粉症の治験とモニター試験については、こちらでもご紹介しています。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン物質に対する免疫反応を調整することで、花粉症の症状を緩和する治療法です。通常はアレルゲンエキスを皮下注射する「減感作療法」と、舌下にアレルゲンエキスを含ませる「舌下免疫療法」があります。
治療期間は2~3年かかりますが、70~80%の人に効果があるとされています。アレルゲンによっては副作用が出ることがあるため、専門医の指導のもとで行う必要があります。
ステロイド注射
ステロイド注射は、抗炎症作用のあるステロイドを注射し、免疫機能を不活性化することで花粉症の症状を抑える治療方法です。鼻づまりや目のかゆみなど、多くの症状を一度に改善できるのが特徴的です。
いっぽう、ステロイド注射にはデメリットもあります。免疫機能を不活性化するため、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなるなどの副作用が起こることがあります。
さらに、高血圧や糖尿病の悪化、骨粗鬆症のリスクなどもあります。この方法は、厚生労働省としては推奨していない点を留意しておきましょう。
ノイロトロピン注射
花粉症のくしゃみや鼻水、鼻の違和感といった鼻炎症状、眼球のかゆみなどに対して効果があるとされる注射です。幅広い症状に対して有効で、予期しない副作用の出現もほとんどないとされています。
消炎鎮痛剤や花粉症の薬、ビタミン剤といった、ほかの薬と併用しても効果を打ち消さないため、ほかの薬との併用も問題ありません。
ただし、ノイロトロピン注射がなぜ花粉症に効くのかという具体的な仕組みについては、明らかになっていません。また、抗ヒスタミン剤の内服薬などと比べて、効果に個人差が出やすい点がデメリットといえます。
ヒスタグロビン注射
ヒスタグロビン注射は、花粉症の症状を引き起こす原因となるヒスタミンの過剰放出を抑制する治療法です。花粉症やアトピー性皮膚炎など、アレルギー性疾患に用いられます。
注射によりヒスタミンが放出されにくい体質になることで、花粉症以外にもアレルギー症状全般への効果が期待できます。
効果の発現まで3~4週間かかるため、通常は花粉症のシーズンが始まる前の注射がおすすめでしょう。ただし、副作用として眠気や頭痛などが現れることがあるため、投与前に医師と十分な相談が必要です。
まとめ
この記事では、治験で花粉症が治るといううわさの真相や、花粉症の症状と対策をくわしくご紹介しました。
花粉症にはさまざまな症状があるため、治療法については専門医との相談が不可欠です。信頼できる専門医に相談のうえ、適切な治療法を選択してください。
また、花粉症対策のための治験に参加することで、協力金を得ながら、症状の緩和も期待できるうえ、医療の発展にも貢献できます。
治験に用いられる薬は開発中のものではありますが、基本的には安全性が確認できており、医療従事者の立ち合いのもとで行われるため、過度に不安に感じる必要はありません。
これから治験をやってみようと考えている方は、治験バンクの利用がおすすめです。治験バンクでは、治験ボランティア参加にあたって不安に感じることや、参加者の声なども詳細に解説しています。