TOP 生活保護受給者と治験バイト
公開日2024年4月22日

生活保護受給者と治験バイト

治験バンク

生活保護受給と治験バイトは両立する?

治験バイト」は、短時間で高額の負担軽減費が支払われる人気のバイトです。生活に困窮している人たちにとっても、またとないチャンスに思えるのですが・・・。
生活保護受給者が治験に参加したら、支給が停止される場合が多いようです。
また、治験参加のルール・諸注意として「生活保護受給者は参加できない」とあります。

治験バイトに参加できない理由

生活保護受給者が治験に参加する場合は、「社会的弱者への配慮」および「生活保護制度への影響」という面で認められないことが多いようです。

「社会的弱者への配慮」は、GCP第32条第1項/第2項ガイダンス1にある
<治験審査委員会は、全ての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図ること。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払うこと>に該当します。
「生活保護制度への影響」については、負担軽減費を受け取ることによって、生活保護の適応除外または保護費減額の事由になり得ますし(たとえば、10万円以上の現金を所有してはいけないなどの規定に違反)、保険外併用療養費制度は原則として適用できません(生活保護法第52条第2項に規定)。

薬事日報による問題提起で改善も?

<生活保護と治験の両立:薬事日報>
重い病気で仕事に就けない患者が治験に参加しながら生活保護制度を受けることは難しいらしい。
生活保護制度上の制約があるためで、従来から治験の現場では問題視する声があったようだが、厚労省の検討会でも改善が必要との意見が出てきた。
◆厚労省社会援護局保護課は、生活保護と治験の両立を認めない理由を▽生活保護が保障するのは最低限の保障のみ▽治験等の保険外診療や保険外併用療養を認めることは生活保護制度の趣旨を超えるため公費充当は不適当▽難病等の治療薬の開発はオーファンの助成制度の中で総合的に検討すべきである、と説明する。
◆つまり、「治験への参加は生活保護受給者に認められる範囲を超えた、贅沢なもの」と解釈できる。ただ是正を求める委員も、全ての受給者に治験参加を認めるべきとは言っていない。
◆生活保護を巡っては、「不適切な受給事例」も見られ、適用を厳格化したり医療扶助を適正化する動きもあるが、治療の選択肢が限られる患者には制度をゆるめることも必要。ぜひとも政治に見直しを決断してもらいたい。
https://www.yakuji.co.jp/entry25724.html(薬事日報)

不適切な受給事例の場合、安定的に生活保護を受けながら自由な時間を使って割の良い治験バイトをする・・・という不届きな人もいるようです。こんなことがまかり通れば、困窮の中を踏ん張っている人やバイトが頼りの苦学生たちから収入のチャンスを奪うことにもなりかねません。政治的判断が待たれるところです。

生活保護制度について、簡単に

生活保護制度とは、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります)

保護の要件は

生活保護は世帯単位で行うため、世帯員全員が持っている資産や能力、親類その他からの扶養(援助)などを活用してなお最低限の生活が維持できないときに生活保護受給が認められます。次のような条件に当てはまる世帯は受給が可能です。

  • 世帯収入が最低生活費を下回っている
  • 預貯金・保険・土地・住宅など、活用できる財産がない
  • 扶養に入れてくれる家族・親族がいない
  • ケガや病気などの理由があって働けない

生活保護受給者がしてはいけないこと、所有してはいけないもの

  • 一定以上の現金・預貯金(一般的には10万円以上)
  • 貯蓄性のある保険・・・生命保険、医療保険、学資保険など
  • 株などの有価証券
  • 投資用の口座
  • 申請者本人が住んでいない家や土地
  • 消費者金融や銀行カードローンのカード
  • 高級な装飾品

車やバイクについては、病気の治療で通院する手段に使う、公共交通手段がない地域に在住しているなどの理由があれば許可されることもあります。

執筆者

治験バンク