高額報酬に未承認薬・・・だから危険?
数日間の入院で報酬は10万円ほど。長期になれば50万円も夢じゃない?
治験バイト(治験モニター)と呼ばれるこの仕事は、「未承認のくすりを飲むだけ」らしい。ただし、「けっこうダーク」らしい。
治験について、こんなウワサが横行しています。全体的には「治験は高収入だけど危険」というとらえ方でしょうか。
治験バイト(治験モニター)はダークでも危険でもありません。また正確にはアルバイトではなく有償のボランティアです。高額の報酬も、アルバイト代金ではなく、治験期間中、通院や入院、検査のために時間をさいたり、交通費がかかったり、日常の行動に我慢が必要だったりすることの負担に対して支払われる協力金(負担軽減費)です。
治験は、新しいくすりを次の世代に残すために協力するという社会貢献でもあり、とても誇らしい活動だと言えます。
治験は厳しい基準に従い実施される
新しいくすり(新薬)の開発は、製薬会社などの研究室で、まず試験管などを用いた実験によって、効力がありそうなものを選び出すところから始まります。次に動物実験で有効性と安全性を調べ、「くすり」になりそうだと見込まれるものだけが「くすりの候補」として残されます。そして最終的に、くすりの候補が「人」でどのような効き目や副作用を示すかを調べます。
人での有効性や安全性について調べることを一般に「臨床試験」と言いますが、「くすりの候補」を国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために行う臨床試験のことを、特に「治験」と呼んでいます。
安全のための厳しい基準に従って
治験は、実施に至るまでに長年研究を重ね、人体に支障のないことが実証された「くすり候補」だけを使うよう定められています。
また実施においても、設備の整った厳選された病院や医療施設で、国が定めた「医薬品の、臨床試験の実施の基準」(GCP)といわれる厳しいルールに従い、安全の確保と人権保護を最優先にして行います。
実施に当たっては、慎重を期して3段階でステップアップしていきます。
最初は十数人から始めて、最終的には数百、数千人の規模にまで拡大します。それぞれのステップの試験を、第1相試験、第2相試験、第3相試験と呼びますが、第3相試験を終了して初めて、厚生労働省の審査を受けることができます。
参加は自由意思です。途中辞退もOK
治験の参加はモニターの自由意思で決まります。
治験参加にあたっては、事前に十分な説明を受け、その同意は文書に残すことになっていますが、一度、参加することに同意しても、いつでも、どんな理由でも参加を取りやめることができます。強制されることはありませんし、断ってもなんら不利になることはありません。また、治験の途中で辞退することも可能です。
治験ではどんなことを調べるのか
くすりの候補を人に使用して、主に有効性と安全性を調べます。
有効性とは、目的とする病気に対する効き目のことで、次のようなことを科学的に証明します。
- 症状がなくなる、または軽くなる
- 血液検査などの検査値が良くなる
がんの治験であれば
- がん(腫瘍)がなくなる、または小さくなる
- 生存期間が延びる
- 日常生活が楽になる
など。
一方安全性とは副作用のことで、重い副作用が出ないか、もし出たとしても許容範囲かどうかなどを調べます。
治験についての詳しい情報は公的サイトで公表されている情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html