治験の中盤から終盤へ「第2相試験・第3相試験」
新型コロナウイルスの流行は、第4波に突入しており、直近ではインド変異株の感染拡大が懸念されています。新型コロナの感染拡大を抑えるには・・・現段階で最も有効な対策はワクチンの接種であるとのデータから、日本でも対応が急がれています。
ところで、ワクチン関連の報道に際してよく耳にするのが「治験の第2相試験、第3相試験」というワードです。これは治験の中盤から終盤にあたる大事な段階であることを現しています。
治験バイトは厚生労働省の指針に沿って段階的に(3段階)進められます。
初期段階である第1相試験で、少数の健康な成人モニターによって「くすりの安全性、くすりの用量、用法など」を調べたあと、次に患者さんの協力を得て肝心の効果について試験する段階へと進みます。これが第2相試験、第3相試験です。段階がすすむにつれて参加人数も大勢になっていきます。
段階的進め方{第2相試験」
第2相試験は、適切な疾病状態にある限られた数の患者において、治験薬の有効性と安全性とを検討し、適応疾患や、用法・用量の妥当性など、第3相試験に進むための情報を収集することを目的とする試験である。第2相試験は通常、前期と後期に分けられる。
<厚労省 新医薬品の臨床評価に関する一般指針より>
第2相試験(探索的試験)
第2相試験は、治験薬を必要としている「患者さん」が対象です。
「くすりの候補」が効果を現すであろうと予想される、比較的少数の患者さんが治験モニターになって実施されます。
各患者さんの病気の程度によって、どのような効き目を発揮するのか(有効性)、どの程度の副作用か(安全性)、どのような使い方(投与量、間隔、期間)が最適なのか、というようなことを調べます。
治験にあたっては、通常、投与量を変えたいくつかのグループで比較検討します。その際、プラセボを加えるのが一般的です。また、使われている標準的な「くすり」がある場合は、そのくすりと比較することもあります。
※プラセボとは
偽薬:くすりの成分が入っていない、見た目や味などは「くすりの候補」と区別がつかないようにしたもの。
段階的進め方「第3相試験」
第3相試験は、比較臨床試験及び一般臨床試験により、さらに多くの臨床試験成績を収集し、対象とする適応症に対する治験薬の有効性及び安全性を精密かつ客観的に明らかにし、治験薬の適応症に対する臨床上の有用性の評価と位置づけを行うことを目的とする試験である。
<厚労省 新医薬品の臨床評価に関する一般指針より>
第3相試験(検証的試験)
第3相試験は治験の最終段階になります。多数の患者さんで、第2相試験の結果から得られた有効性、安全性、使い方を確認します。方法は、治験薬・対象薬・プラセボとの比較、あるいはくすりの候補の投与量の比較が中心になります。
治験を科学的に行ううえで比較試験は重要なことです。
この時、比較試験を偏りなく公平に行うために留意しなくてはいけないことがあります。たとえば、グループの一方に重症患者さんが多く、片方には軽症の患者さんが多い、試験の時期や時間帯が違う、といったことがあれば正しい試験結果は出ません。
そのため、治験に参加するモニターをどの処置(投与量の違い、くすりかプラセボか)に割り付けるかをくじ引きのようにする方法(無作為化割り付け)、さらに、どの処置に割り付けられたかが分からないようにする方法(二重盲検法)が採られています。その際、治験モニターはもとより、治験を行う医師にもどのモニターがどの処置であるかは分からないようになっています。
さらに、比較だけではなく長期間服用したときの安全性や有効性について調べることもあります。
3段階の治験<第1相試験、第2相試験、第3相試験>が終了すれば、「くすりの候補」を開発している製薬企業は、それらの全データをまとめて、国(厚生労働省)に「くすり」として認めてもらえるよう申請します。国の厳正な審査をパスし、効果と安全性が確認(承認)されて初めて「くすりの候補」は「くすり」になれます。
治験についての詳しい情報は公的サイトで公表されている情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html